10)保健機能食品の安全性

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保健機能食品(3つの種類), 分かりやすく, 解説,

   次は、保健健康食品の考えられる安全性について、これ迄の説明と重複する部分もありますが、事例を説明したいと思います。

(1)医薬品と健康食品では、品質に差がある事を認識する。
(2)高齢者、基礎疾患のあるヒトは健康被害に注意する。
(3)医薬品や他の食品成分と相互作用を起こすことがあるので注意する。
(4)表示された成分が、そのまま製品になっているわけではないので注意する。

   以下に、順番に説明します。

(1)医薬品と健康食品では、品質に差がある事を認識する。

  医薬品の製造に関しては、製造所においてGMP(Good Manufacturing Practice:「医薬品等の製造管理及び品質管理の基準」の省令に従い、高い品質の製品が製造されています。一方、健康食品については、厚生労働省が2005年2月に「適正製造規範(GMP)ガイドライン」を公表しています。しかし、日本では国による健康食品のGMP認定制度はなく、GMP認証機関である「公益財団法人 日本健康・栄養食品協会」及び「一般社団法人 日本健康食品規格協会」の2機関が、GMP認定工場で製造された健康食品であることを認めた場合に、その製品に「GMP認定マーク」を表示することが可能となります。GMPの認定マークを取得している製造工場はありますが、すべての健康食品、保健機能食品の製造がGMPガイドラインに従っているわけではなく、品質の面では、保健機能食品を含め、いわゆる健康食品の品質は十分とは言い切れません。
      公益財団法人 日本健康・栄養食品協会 GMPの概要

  尚、関連記事に記載した「指定成分等含有食品」については、2020年施行の食品衛生法の改正時に、厚生労働省の告示により、特別の注意を必要とする成分等を含む食品として、GMP が制度化されています。

(2)高齢者、基礎疾患のあるヒトは健康被害に注意する。

 東京都健康安全研究センターで収集された情報によれば、健康被害の出やすい人として、高齢者、基礎疾患のあるヒトが挙げられています。症状としては、消化管症状(下痢等)、皮膚のアレルギー症状、まれに肝機能障害が報告されているとのことです。

(3)医薬品や他の食品成分と相互作用を起こすことがあるので注意する。

  前述したように医薬品と保健機能食品を同時に摂取する場合には、医薬品との相互作用で、健康に影響が出る可能性がありますので、医師や薬剤師に相談してください。

(4)表示された成分が、そのまま製品になっているわけではない事を理解する。

 医薬品は厳密な製造体制のもとに製造されていますが、手軽に摂取できる健康食品は、医薬品程厳密にすることは出来ないので、健康食品の品質としては、利用した原料の品質の問題(常に同じ品質のものが同じ量含まれるとは限らない)、複数の原料を添加している問題(原料同士で、相互作用が起きる可能性はないとは言えないが調査はしていないことが多い)、不純物混入(不純物、分解物の測定を行っていない場合がある)の問題等は、通常の食品レベルとあまり変わらないので、表示された成分のみが、実際に摂取する最終の製品の中に正確に含まれているとは限りません。

【本項目における纏め】

 生活環境を整えて、保健機能食品を上手く活用して、各人の健康の維持と増進を望んでいますが、保健機能食品の効果を得るうえでは、正しい知識を持っておく必要があると考えています。ここでは、保健機能食品の懸念される部分を、少し誇張して取り上げましたが、保健機能食品の中には、未だ安全性の面で気になる部分も残っていますので、情報として知っておいて頂くために、いくつかのポイントをご紹介しました。消費者庁のサイトを見ると、何か健康食品等を服用する場合には「健康食品手帳」を作成して、いつ、何を、どの位摂取したか、何か健康に影響するような症状が見られたかを記録に残すとよいとのことです。こういった記録を残すことで、何が原因で健康の異常が生じたのか、どの成分が、ご自分には合わないか等の貴重なデータになります。

関連記事 ① では、「保健機能食品の摂取で勘違いしがちな事例」について、説明します。

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