② 特定保健用食品(トクホ)の広告自主基準

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保健機能食品(3つの種類), 分かりやすく, 解説,

  特定保健用食品(トクホ)が消費者に正しく理解され、適切に活用されることが健康の維持・増進に役立つことから、財団法人 日本健康・栄養食品協会では平成19年6月に「特定保健用食品」の適正広告自主基準を作成しています。その後も同協会において、定期的な審議を重ね、令和2年3月には、懸案事項となっていた許可表示、アンケート・モニター結果及びデータの取扱いも加え、当自主基準の見直しを図っています。

 ここでは、以下の2点に関して、説明を加え、特定保健用食品の(トクホ)の広告自主基準について理解を深めたいと考えます。

1)広告自主基準の目次
2)自主基準のポイント

 それでは、順番に説明したいと思います。

1)広告自主基準の目次

  本自主基準では、以下のような内容について記載されています。
1. 自主基準作成の目的
 2.対象者の範囲
 3.広告の範囲
 4.対象者の責務
 5.留意事項
 (1)広告作成において、表示が必要な事項
 (2)その他の表現について
  ① 許可表示の簡略化やキャッチコピー等での言い換えについて
  ② 1日摂取目安量・摂取方法
  ③ 国に許可に係わる表現
  ④ 統計データ等の使用
  ⑤ 医師・専門家等の広告への起用
  ⑥ 子どもへの広告の起用
  ⑦ アンケート・モニター結果
  ⑧ 個人の感想等
  ➈ 製品特徴、配合成分
  ⑩ ヒト試験
 (3)ヒト試験データの取扱い
   【グラフを使用する場合の注意事項】
   【テレビ等の映像媒体においてグラフを使用する場合の注意事項】
 (4)複数製品の同時広告について
 (5)比較広告・他社誹謗について
 (6)新発売などの表現について
 (7)インターネット上の広告における留意事項

2)自主基準のポイント

  次に、上記の目次に沿って、広告自主基準のポイントにいて、概略を押さえておきたいと思います。
1. 自主基準作成の目的
  広告にあっては、適切な広告が消費者の「特定保健用食品(トクホ)」に対する理解を深 め、健康の維持・増進による利益を消費者によりわかりやすい表現で伝達する上で重要である事から、当該自主基準を作成しています。
2.対象者の範囲
本自主基準は、トクホ許可取得者・発売元を対象者としています。
3.広告の範囲
  広告の範囲は、顧客を誘引する意図が明確であること、特定の商品名が明らかにされてい ること、並びに一般人が認知できる状態であることの全てに該当することを消費者が認識できるものとしています。
4.対象者の責務
  主な対象者の責務としては、以下の事が挙げられています。
(1)健康増進法、食品表示法、食品衛生法および景品表示法等の法律や消費者庁から出される通知等を遵守する。
(2)許可表示等、申請資料に基づき取得した許可の範囲内で行う。
(3)消費者に対する「許可表示の誤認」、「広告全体を通じて疾病の治療または予防ができるかのような誤認」、「許可を受けた摂取上の注意に関し、間違った摂取」等、消費者が誤認しないような表示を行う。
(4)「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランス」の文言を表示するなど、バランスのよい食生活の普及啓発に努める。
5.留意事項
(1) 広告作成において表示が必要な事項

特定保健用食品(トクホ)の広告においては、「特定保健用食品である旨」、「許可表示」、「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランス」の3項目を表示することになっています。
(2) その他の表現について
   その他の表現の項では、下記の ①~⑩ の項目毎に、特定保健用食品(トクホ)として許可を得た内容に対し、消費者が誤認、誤解しないようにするための注意事項が記載されています。
① 許可表示の簡略化やキャッチコピー等での言い換えについて
・許可表示を超える過大な効果を期待させたり、その過大な効果について、国が許可しているかのような誤認を与える内容とならないように、広告全体を通じて十分に注意する。   
・例えば、許可表示が「食後の血糖値が気になる方」という許可表示に対して、「食後の」という文言を省略して、単に「血糖値が気になる方」と表示すると、食事によらない血糖値に対する保健の用途に適しているものと誤認を与えるおそれがある。
② 1日摂取目安量・摂取方法
・許可を受けた摂取方法と異なる摂取方法を表示することは虚偽表示となることがあるため避ける。
③ 国の許可に関わる表現
・製品の効果や安全性を国が保証しているかのような誤認を与えることがないように十分に注意する。
④ 統計データ等の使用
・一般的な情報や資料を広告に使用する場合は、必ず、その出典(引用元の資料)を明記する。
・一般的な情報や資料を広告に使用する場合は、その内容を誇大解釈させたり、誤認させることがないように十分に注意する。
⑤ 医師・専門家等の広告への起用
・医師・専門家等あるいは、医師・専門家等を連想させるタレント等が広告に登場する場合は、広告全体を通じて疾病の治療または予防ができるかのような誤認を与えないように留意する。
⑥ 子どもの広告への起用
・広告全体を通じて子どもへの効果を期待させる摂取を推奨するような内容にならないように十分に注意する。
⑦ アンケート・モニター結果
・アンケート・モニター調査等の結果は、嗜好・食感等に限り、広告に使用することは可能とするが、製品の効果に関する結果は使用しない。
尚、調査結果を引用する場合は、消費者に誤認させることがないように十分に注意し、調査実施者、調査条件(質問内容、対象者、人数等)を適切に表示する。
⑧ 個人の感想等
・許可表示の範囲を超える表現、過大な効果の強調や保証、都合のよい感想のみを引用する等によって、消費者に誤認を与えることがないように十分に注意する。
➈ 製品特徴・配合成分
・一般的な栄養成分の情報、食感などの製品特徴等を表示する場合は、それらが許可表示と誤認されないようにする。
⑩ ヒト試験について
・特定保健用食品(トクホ)の広告では、「臨床試験」ではなく、「ヒト試験」という用語を用いる。
(3)ヒト試験データの取扱いについて
① 広告に使用するデータの出典(引用元の資料)は、以下の2要件を満たすことになっています。
   ・審査申請書の添付資料であること。
・学術誌に掲載されていること。
② 広告にデータを使用する場合は、必ずデータの出典を明記することになっています。
③ 広告にデータを使用する場合は、試験条件、摂取期間、対象者の属性等試験の概要を表示する必要があります。
(4)複数製品の同時広告について
① トクホ製品とトクホではない一般製品を並べて広告する場合は、トクホ製品と一般製品との区別を明確にし、誤認させることがないように十分に配慮する必要があります。
(5)比較広告・他社誹謗について
① 比較広告を行う場合は、トクホの許可表示の内容に基づき、かつ、景品表示法や不正競争防止法等の関連法規に従う事になっています
② トクホの品質、効果、安全性、その他について、他社製品を根拠なく誹謗するような広告は行わないことになっています。
(6)新発売等の表現について
① トクホに関わる新発売、新製品、新しい等の表現は、製品発売後1年間を目安に使用することは可能とされています。
(7)インターネット上の広告における留意事項
① 一般消費者がそのページに移動した際に、視認性が高い場所に、本自主基準5-(1)の広告において表示が必要な3項目を表示することになっています。
② グラフを使用した広告等で、グラフの詳細説明のためにホームページに誘導した 場合は、本自主基準5-(3)3)を参照し、グラフの詳細を明記すること必要があります。

【本項目における纏め】

 特定保健用食品(トクホ)をいろんな媒体を用いて広告する場合に、財団法人 日本健康・栄養食品協会が作成した広告する際の自主基準が設けられています。基本的な方針としては、トクホの広告に際し、消費者に正しく理解され、適切に活用されるようにするために、いろんなケース毎に、消費者に誤認、誤解を与えないようにするための注意事項が決められており、この基準を遵守することにより、トクホを用いて、消費者の健康の維持・増進に役立つようにすることを目指しています。

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